歯を失ってしまうかもしれない怖い病気 歯周病

歯周病は歯ぐきや歯槽骨(しそうこつ:歯を支える顎の骨)といった、歯の周辺の組織に炎症を起こすお口の感染症です。日本人が歯を失う原因第一位のお口の病気であり、成人の約6割は歯周病に罹患しているとされています。

歯周病は初めこそ、歯ぐきから出血がある程度と軽く考えられがちですが、最終的には顎の骨が溶かされ、歯が抜け落ちてしまうことがある恐ろしい病気。静かに進行していくため、気づいたときにはすでに手遅れ……ということも少なくありません。

当院では、軽度から重度までさまざまな症状の歯周病治療を行っています。ちょっとした歯周病のサインを見逃さず、気になる症状があれば早めにご相談ください。

歯周病の原因

歯周病の原因菌は、歯垢(プラーク)の中にひそんでいます。歯と歯の間にある「歯周ポケット(※)」には歯垢がたまりやすく、歯垢が死骸化した歯石となってこびりつくとブラッシングでは落とせなくなります。また、歯石はさらなる歯垢の付着を招くため、悪循環に陥りやすくなります。
※歯周ポケットの深さが歯周病の進行具合を測る目安にもなります。

また、歯周病は感染症であるため、免疫力が低下すると発症しやすくなります。生活習慣による口腔内環境の悪化や、免疫力が低下する30代以降は歯周病に対する口腔ケアが必要だといえるでしょう。

歯周病ケアとしては、原因菌が棲みつく歯垢をためないようブラッシングすることがもっとも重要。さらに、歯科医院で専門的なクリーニングを受けることで歯石を除去することも大切です。

歯周病が関係するトラブルと気をつけたい生活習慣

歯周病菌が血管内や気管内へ入り込むと、そこで炎症を起こすことで、心疾患や動脈硬化、糖尿病、早産など命にかかわるようなさまざまな全身トラブルにも関係していることがわかっています。このようなトラブルを招かないよう、生活習慣を改善することも大切です。

次のような生活習慣は歯周病の危険因子です。このような生活習慣があるなら、できるだけ改めるよう心がけましょう。

喫煙 ストレスの多い生活 不規則な食生活
甘いものばかり食べる 歯ぎしり・歯並びの悪さ 口呼吸

歯周病の進行と症状

歯周病初期 自覚症状はほとんどありません。
歯石が歯と歯ぐきの間にある溝「歯周ポケット」に少しずつたまり始めています。
歯周病中期 疲れたときに歯ぐきに腫れを感じたり、ブラッシング時に出血したりする以外はほとんど自覚症状がありません。しかし着実に「歯周ポケット」が深くなり、少しずつ歯石がたまっています。
歯周病重度 出血することが多くなり、歯の腫れが慢性化してきます。歯を舌や指で触るとグラグラと動くことがあります。ここまでくると、顎の骨が溶かされている証拠。歯の表面だけでなく、歯周ポケット内部にも歯石がこびりついています。
歯周病末期 食べものを口にするだけで歯に痛みを感じるほどになっています。出血や膿が出たり、口臭がきつくなったりしています。左右にグラグラしていた歯が、上下にも動くようになります。ここまでくると、歯が抜け落ちる可能性が高く、抜歯が必要に。入れ歯やインプラントといった補綴(ほてつ)治療を行う必要があります。

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歯周病の検査方法

ポケット診査

プローブという目盛のついた測定器具で、歯周ポケットの深さを測る検査です。1本の歯につき1~4ヶ所測定します。健康な状態だと1~2mmですので、4mm以上の深さがあると歯周病と判定されます。ひどい歯周病の場合は6~10数mmと深くなっています。
※測定中に、炎症がある歯肉から出血することがあります。

歯の動揺度の検査

歯周病は重度になると歯の骨が溶かされますが、3分の1程度溶かされると歯がグラグラと動き始めます。歯をピンセットでつまみ、前後左右に動かしてその動きから歯周病の進行具合を測ります。歯が左右に動けば中期~重度歯周病、上下にも動くようであれば末期と診断され、抜歯が検討されます。

レントゲン検査

レントゲン撮影によって、顎の骨がどれくらい溶かされているかを診ます。歯周病の検査としては非常に重要ですので、必ず行っています。

歯周病の治療法

歯周病治療の基本は、歯石を徹底的に除去し、歯垢の付着を防ぐことにあります。歯の表面についた歯石だけであれば器具を使って取り除けます。しかし、顎の骨を溶かすほど進行した歯周病の場合は、歯ぐきを切開する外科手術を行い、歯周ポケット内部から汚染された組織を除去し、再生治療を行う必要があります。

歯周ポケットそうは術

歯周ポケット内部の歯石や汚れを取り除く処置です。「スケーラー」と呼ばれる器具を使って歯の表面から歯石を取り除き、歯周病菌に汚染された歯肉も除去します。この段階ではまだ、歯ぐきの切開手術は行いません。

フラップ手術

麻酔を施し、歯ぐきを切開して肉眼では見えなかった歯周ポケット内部の汚染部位を取り除く手術です。器具を用いてしっかり歯石や汚れ、汚染された組織を取り除き、デコボコになった歯の表面を滑らかに仕上げることで、歯石の付着を防ぎます。切開した患部を縫合して終了です。

歯周病は予防できる病気です

歯周病は、歯垢内に生息する歯周病菌が原因であるため、虫歯と同様に予防できます。予防のために必要なことは、細菌の繁殖を防ぐこと。つまり、歯垢をしっかり落とし、歯垢の付着を招く歯石をしっかり落とすことが大切。歯垢は適切なブラッシングで落とせますが、歯石はブラッシングでは落とせません。そのため、毎日のセルフケアにあわせて歯科医院でのプロケアを組み合わせることが重要となってきます。歯周病で歯を失ってしまわないよう、症状がないうちから、歯科医院の予防ケアを積極的にご利用ください。

毎日のブラッシングで至らない部分は、歯科医院のプロフェッショナルケアでカバー 虫歯、歯周病にならないために【予防歯科】

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